ヒミズの死体
1996.1.20 石川県金沢市 河崎 晴夫
宮の森は昔ながらの鎮守の森である。その中に三つの社がある。その一つ火の神さまを祀てある”あたご神社”は屋根を除いて土台、階段、壁、床も全部コンクリート製である。その階段を上がった所に賽銭箱があり、その横にこぶしよりひと回り小さくした黒い毛のかたまりがコロがっていた、陽の当たり具合によって玉虫色に輝いている。尻尾が全体の三分の一位で、目も耳も見つからない。ヒミズだ。口の中から長い門歯が二本ニョキッと見える。まだ生温かく外傷は見つからない、しかし自力でコンクリートの階段を上まで歩いたとはとても思えない。この界隈にはフクチャンと言う白い猫がいる、そいつが少し前にうろうろしていたから、どうも犯人はフクチャンらしいと思われる。死体を見つけたのが夕方の五時頃なのでもう少し遅いとタヌキに食べられていたかもしれない。